習慣性便秘の治療は非常に難しい
(ある消化器科のお医者さまより)
最近、習慣性便秘の患者さんが増えているように思います。ダイエットのために食事量を減らす、多忙で便意を我慢してしまう、などの生活習慣が便秘を起こしやすくしているのでしょうか。ストレスが誘因になる過敏性腸症候群による便秘も増えています。また、超高齢者の便秘治療に難渋する機会も明らかに増えています。習慣性便秘では、背景に重大な病気が潜んでいることは基本的にはないはずですが、しかし、習慣性便秘の治療は非常に難しい。
便秘をしないために「規則的に食事をとる、特に朝食を抜かない、食物繊維を多く食べる、水分を十分にとる、便意を我慢しない、ストレスをためない、十分な睡眠をとる、適度な運動をする」などは習慣性便秘の患者さんにしてみれば常識中の常識。
守っても便秘がよくならないから医療機関を訪れるのです。本当に守られているかどうかは別として、医師としては薬に頼らざるを得ない場合がほとんどです。
しかし、腸の中で便秘薬がどのように作用するか科学的に考察することは不可能に近く、そもそも便秘薬の効果は患者さんにより千差万別です。
このためか便秘薬の使い方は経験に頼ることが多く、消化器専門医といえども先輩からの耳学問をよりどころにしている場合がほとんどです。
患者さんの中には市販の便秘薬を既に使用している方もいらっしゃいます。そのほとんどが、センナ、ダイオウなどアントラキノン系といわれる大腸を刺激する薬です。この種の薬剤は長期連用すると習慣性になると一般的に信じられている薬物で、患者さん自身もそのことを非常に心配しながら使用している場合が多いために便秘の治療をなおさら複雑にしています。
しかし、本当に習慣性があるのか実はよくわかっていません。最近、米国の消化器専門誌が便秘薬の習慣性についてメタアナリシスという統計手法を用いて論じていましたが、結論は習慣性があるとは言えないというものでした。しかし、あるかもしれません。
いずれにしても、アントラキノン系の下剤は下剤の中でも強い下剤なので最初に用いるべきではないでしょう。おすすめは腸の内容物を増やすことで便秘を改善する塩類下剤(代表はいわゆるカマ)や膨張性下剤(代表はカルメロースナトリウム)といわれる薬物です。特にカマは作用が穏やかな薬で、さじ加減で量を調整して至適量を決め、これでも改善しない場合に他種の下剤を上乗せするのが便秘治療のコツのようです。
最後に、便秘の背景に「うつ状態」が隠れている場合があることを付け加えておきます。まずは自己のチェックが必要なのかもしれません。 |
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